今年度、 総合旅行業務取扱管理者試験 は10月24日(日)に実施されることになりました。すでに受験願書受付は締切となっていますが、受験される方もいらっしゃることとと思います。
近年、総合旅行業務管理者試験における国際運賃の問題では、2種類の運賃を組み合わせて使用する「結合運賃」に関する問題が問題の中心になっています。そのため、基本的な運賃規則に加え、運賃を結合する時の運賃規則の適用について、きちんとした知識を付けることが必須です。
この傾向は、現在販売されている運賃のトレンドからも変わらないでしょう。そのうえで、昨年の問題では、2つの印象に残る問題がありました。今回はその2点について、お話ししたいと思います。
運賃計算情報(Fare calculation)の問題
以下の条件(1.~4.)において、往路にSaver L運賃、復路にSaver K運賃を適用した場合、eチケットの運賃計算情報(Fare Calculation)欄に表示されるものは次のうちどれか。
※ 一般社団法人 日本旅行業協会開催 令和2年度問題・資料より抜粋
昨年の問題では、このように羽田からシンガポールという往復旅行の運賃を、往路・復路、別の種別の運賃を使った場合、eチケット上でどのようなFare calculation で表されるか、ということが問われました。往路・復路の運賃をそれぞれ正しく算出する、という第一段階に加え、それをFare calculationでどのように表されるのが正しいのか、という知識が求められています。
このような問題は今まで無かったので、運賃を算出することに重きを置いていた国家試験の問題がより実務に近づいた内容になったと言えます。発券を行ったことがある人にとっては、算出した運賃をGDSなどでFare Calculation に表し、航空券にする、というのは必ず行われる発券作業なのですが、運賃だけを勉強してきた人にとっては、慣れない問題となったと思います。
少し試験の話からは外れますが、国際線の航空券の発券業務において、運賃を算出することと、それを航空券にすることは実は一体化した作業のようで、それぞれ別の専門知識を必要とするものなります。それぞれ異なるマニュアルを要し、航空会社などでは部署やグループが分かれていたりするところもあるほどです。国際航空運賃を算出することにも知識がいるように、発券することにも正しい知識が必要です。
運賃を出し終えて、ホッとしてしまうのでは無く、最後まで細心の注意を払って航空券を作れるようになってほしい、そのような問題になっているような気がします。自動計算で算出したFare Calculation を再度確認する機会はなかなか無いとは思いますが、それぞれの順序、位置などには意味があります。それを再度確認してみると良いでしょう。
もう一つも発券に関する知識が入った問題です。これは目新しいものでは無く、発券の基本知識に関するものですが、改めて問われると悩まれた方も多い問題だったのでは、と思います。
発券規則の問題
上記問7.の運賃を適用した航空券に関する次の記述のうち、正しいものをすべて選びなさい。
※ 一般社団法人 日本旅行業協会開催 令和2年度問題・資料より抜粋
この問題で特徴的なのが、一つの問題でひとつの知識を問われるのではなく、それぞれの選択肢に対して正しい知識が必要である点です。正しいものをすべて選びなさい、という問題形式により、他の選択肢の答えが、別の選択肢のヒントになることもありません。
この問題形式は問題を解く側にとっては厳しい問題形式であり、解くのにも時間を要するため、今回の問題の中では印象に残りました。内容は、というと、運賃の問題と発券の問題とが混在した内容でした。a. は発券に関する問題です。Fare Calculation の問題同様、運賃が算出できた後どうするか、ということが問われています。発券日ベースという言い方もされますが、運賃、規則はどこを基準に適用が決まるか、ということを正しく理解しているかが問われる問題でした。ここは意外と意識せず、実務に携わっている人でも曖昧に覚えている方が多いので注意が必要です。
b. 、c. はどちらも運賃規則の問題ですが、こちらもあやふやでは無く、どの日を基準に考えるか、が問われていますので、実務をやっている方でもドキッとする問題でしょう。 このように昨年の問題は近年の結合運賃の傾向を引き継ぎつつ、発券に関する問題を入れたり、細かい点まで正確に理解しているかと問う問題を入れたり、とより幅広く深く問われる問題があり、得点が難しくなったという印象です。
分かっていると思っている内容でも、もう一度見直し、あやふやな部分は無いかを確認して試験に臨みましょう。
この記事を書いた人:
藤田(タリフセクション)