23回目までは運賃の考え方、規則について説明をしてきましたが、今回は運賃とは別に設定されている運賃・料金についてです。
燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ/Fuel Surcharge)
航空機の燃油価格高騰により、費用増加の一部を旅客に負担してもらうために設定されている運賃です。正式には燃油特別付加運賃ですが、一般的には燃油サーチャージと呼ばれています。以下、燃油サーチャージと明記していきます。
背景
燃油サーチャージを収受し始めた背景は、湾岸戦争以降に原油価格が高騰し、その措置として1997年にIATAが制度を導入、2001年から実施されました。ただし、IATAの協定料金ではなく、適用の有無、金額については、各航空会社により異なります。
日本では燃油特別付加運賃(貨物は燃油サーチャージ)として申請を行われており、貨物は2001年、旅客は2005年から実施が開始されました。日本においてはシンガポールケロシンを指標としており、2ヵ月、または3ヵ月の平均価格を使用しています。
適用について
原則として、座席を使用しない幼児は燃油サーチャージは収受しませんが、座席を利用する大人・小児、また座席を利用する幼児も収受することになります。金額や適用する条件は各航空会社によって異なりますので、必ず確認してください。
また、適用額は各航空会社および路線によっても異なり、2ヵ月、または3ヵ月ごとに見直しが行われます。区間ごとの設定となり、航空券の発券日ベースで適用されることを覚えておきましょう。
参考
【第1号】5. タメになる燃油の話 その1「燃油サーチャージとは?」
【第2号】2. タメになる燃油の話 その2「燃油サーチャージ額の決まり方」
【第3号】2. タメになる燃油の話 その3「金額が変更になるタイミング」
【第4号】1. タメになる燃油の話 その4「金額が変更になるタイミング」
航空保険特別料金(Insurance Surcharge)
航空会社が不慮の事故に備えて加入している航空保険の保険料が高騰したことや、航空保安強化による費用増加の一部を旅客に負担してもらうために設定された料金です。
背景
2001年9月のアメリカ同時多発テロの影響により、各航空会社が加入している航空保険料が大幅に引き上げになったことから、各航空会社に導入されました。なお、航空保険は旅行者が任意に加入する海外旅行保険とは別のものです。
全旅客に適用されており、大人、小児、幼児(ここでは座席使用有無に関わらず)ともに同額となります。適用額は各航空会社によって異なり、また区間ごとの設定となっています。
ただし、各航空会社によって適用条件が異なりますので、燃油サーチャージ同様必ず確認が必要です。
その他の諸料金
日本国内の一部の空港では、国際線ターミナルを利用する旅客を対象に、空港施設の使用料、保安サービス料を収受しています。
旅客サービス施設利用料
出発・到着ロビーやフライト情報システムなどの様々な旅客サービス施設の設置や維持管理、手荷物カートやお客様案内など旅客サービスを提供する費用に充当する目的で収受されている料金です。
旅客保安サービス料
安全を確保するために行う、検査装置による手荷物検査、ハイジャック検査やターミナルビルの保安維持などサービスの提供に充てる目的で収受されている料金です。
上記の他に必要に応じて、各国の税金(出入国/通行/騒音/保安などの税金)・料金(空港利用料)などがあり、収受されます。
関連料金
各航空会社が設定している適用規則条件のあるサービスを旅客が利用する意思を示している場合、対応する料金額です。
通常はGDSで自動計算されますが、運賃以外にどのような料金・その他の運賃があるのかを把握して、お客様のご案内時に説明ができるといいですね。
今回のまとめ
運賃の他には、その他の運賃・料金がさらにある
その一部が燃油サーチャージ、航空保険特別料金である
他にTAXや航空会社が設定している各料金がある
この記事を書いた人:
浜田(編集部/商品販売グループ)