【第2号】2. タメになる燃油の話 その2「燃油サーチャージ額の決まり方」

第1回では、タリフセクションの吉田が、燃油サーチャージ設定の背景と指標の考え方についてお話ししました。

前回の記事はこちら

燃油サーチャージについてさらに興味をお持ちいただけたと思いますが、では実際に燃油サーチャージ額はどのようにして決められているのでしょうか?
第2回では、同じくタリフセクションの近藤が、この金額の決まり方について説明していきたいと思います。

そもそも燃油サーチャージは、航空会社で補いきれないほど高騰した燃油費用の一部を消費者にも負担していただくために設定されたものであることは第1回でお話ししました。
そのことから、航空機を運航することにより発生するコスト(追加燃油コスト)と、消費者から徴収する燃油サーチャージの収入の割合を算出した時、補填率(燃油サーチャージ徴収による収入÷追加燃油コスト)が100%を超えないように設定されています。


旅客から収受する燃油サーチャージ収入÷追加で発生する燃油コスト<1

では、追加燃油コストとはいったい何を基に算出されているのでしょうか?
これはまず運航スケジュールを基に経路、便数、使用機材、旅客数や貨物量を確認し、そこから合計年間消費燃料を算出します。軽自動車と大型トラックでは燃費が異なるように飛行機も機材ごとに燃費が異なりますので、機材ごとの燃費(mile/gallon)を確認しそれぞれ正確に算出していきます。

余談となりますが、例えば成田からニューヨークまでのおよそ1万1000kmをボーイング747型機で飛行した場合の消費燃料はどれくらいかご存知ですか? なんとおよそ35万ポンド(約15万9000kg)ともいわれています。これに対して、新型のボーイング787型機で同じ経路を飛行した場合では15万ポンド(約6万8000kg)、およそ半分以下の消費燃料で飛行することができるのです。燃費のいい飛行機はエコにつながるだけではなくコスト削減という面でも大きな役割を担っていますね。

話を戻しまして、上記で算出された合計年間消費燃料(バレル)と、申請時のケロシン価格から高騰する前(安定時)のケロシン価格を差し引いた額(ドル)を掛け合わせたのが追加燃油コストとなります。
言葉だけだとわかりにくいですね。計算式で簡単に説明すると以下の通りです。

(申請時のケロシン価格-安定時のケロシン価格)×合計年間消費燃料=追加燃油コスト

最初にも説明していますが、高騰する燃油コストの一部を消費者に負担いただくことから、燃油サーチャージの収入は追加燃油コストを上回ってはいけません。

 追加コスト>収入

× 追加コスト<収入

これが燃油サーチャージ額を決定する際の大きなポイントとなります。

ここまで説明してきたように、燃油サーチャージ額を決めるだけでも、様々な情報を収集し、緻密な計算を行ったうえで初めて確定するものなのです。

今回のまとめ

・補填率は100%を超えてはいけない
・機材ごとに異なる燃費から消費する燃油の量を計算する
・OFCでは航空会社の燃油サーチャージ申請を代行している

以上が金額の決まり方の説明でした。

第3回目は金額が変更になるタイミングについてお話しします。

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