今まで4回にわたり、旅客をメインとした燃油サーチャージについてお話してきましたが、今回から国際航空貨物運賃(以下、「貨物運賃」略します)について説明をしていきます。
【第2号】2. タメになる燃油の話 その2「燃油サーチャージ額の決まり方」
【第3号】2. タメになる燃油の話 その3「金額が変更になるタイミング」
【第4号】1. タメになる燃油の話 その4「OFCの業務と燃油サーチャージ」
貨物のIATA運賃
貨物運賃は、2011年までIATA運賃が適用されていましたが、IATA運賃の適用廃止に伴い、各航空会社が独自のキャリア運賃を設定することになりました。
それまでは、IATAが定めた貨物運賃のため、同じ区間であればどの航空会社でも同じ金額でしたが、キャリア運賃になってからは、航空会社ごとに運賃額が異なります。
貨物運賃の種類
今回は貨物運賃にどのような種類があるのかをご紹介します。
条件(規則)によって運賃額が異なる旅客運賃とは異なり、カテゴリーごとに設定されているのが貨物運賃です。実際に設定されている主な運賃は、以下のとおりです。
- 最低料金
- 一般貨物賃率
- 特定品目賃率
- 品目分類賃率
- 混合貨物
- 従価料金
1. 最低料金(Minimum Charge)
貨物の重量または容積重量による運賃が、最低料金より低額な場合、この最低料金が適用されます。いわゆる最低限度額ですね。
2. 一般貨物賃率(General Cargo Rate)
2地点間の一般貨物運送のために設定される貨物賃率です。
特定品目賃率および品目分類賃率を適用する貨物以外の全貨物に適用されます。
この中にも45kg未満(45kgがない場合は100kg)の「Normal Charge」と45kg以上の「Quantity Charge」が設定されており、「CARGO TARIFF」に掲載されている賃率の中で最大はなんと1,000kgです!! このように重量段階で賃率が設定されています。重量が多くなるに従って減額される仕組みですね。
3. 特定品目賃率(Specific Commodity Rate)
特定の品目に2地点間に設定されていて、品目番号により分類された貨物賃率です。品目番号は4桁の数字でコード化されており、その分類は多岐にわたります。
運賃はというと割引率も高く、また貿易振興を目的に設定されています。リストを見ていると特産物などが入っています。
4. 品目分類賃率(Commodity Classification Rate)
特定された品目に対して適用される貨物賃率です。その中でも更に分類されていて、「生後72時間以内のひよこ」やその他の動物、「自動車」「貴重品」や「新聞/定期発行の刊行物」などがあります。
賃率は45kg未満(45kg未満がない場合は100kg未満)の一般貨物賃率に対しての割増、または割引をパーセンテージで示した運賃となります。
5. 混合貨物
梱包が単一であるか別々であるかに係わらず、異なる品目や貨物の内容のことを意味します。こちらは貨物全体の重量または容積に対して一般貨物賃率を適用します。
6. 従価料金
高価な貨物を航空会社が運送する場合に、負担しなければならない危険を、料金の形で荷主に分担してもらうという考えに基づく貨物の価格に対する運賃です。
他にもULD賃率や国際優先搭載貨物賃率、危険物取扱手数料などがありますが、この中で必ず設定しなくてはいけない賃率があります。それは、以下の2つです。
・最低料金
・一般貨物賃率の45kg未満と45kg以上
・キャリア貨物運賃は多くがIATA運賃のまま
・運賃は重量や品目により多岐にわたる
・生まれたてのひよこ用の運賃が存在する
貨物運賃と一言で言っても種類が多いので、内容によってはどの賃率が安くなるのかを見極めるのも大変ですね。
次回は貨物賃率表の見方について説明します。
浜田(副編集長)