【第42号】1. 令和4年度 総合旅行業務取扱管理者試験のポイント

 今年度も特に大きな問題傾向の変化は無く、問題の内容も大きく難易度が変わることもありませんでした。例年の対策を行っていれば、十分に対応できる内容の問題でした。

 近年連続してFare Calculationの問題が出ていますが、今年度も同様に出題されました。
ただ、こちらも特に難しい問題では無いので、Fare Calculationで運賃を表す、ということに慣れていれば、問題なく解ける内容でした。運賃を算出する問題を解く時にFare Calculationで表してみる練習をしておくとよいでしょう。

 内容について見ていきましょう。今年度も本邦の航空会社の運賃で大問が2つ作られました。第1問がNHの運賃に関する問題、第2問がJLの運賃に関する問題です。このように本邦のキャリアの運賃が問題に出る傾向は近年変わりませんので、受験者はその年度の本邦のキャリア運賃の規則等を見ておき、どのような点に注意すべきかを確認しておくとよいでしょう。もちろん、試験問題では規則そのものをそのまま使うとは限りませんので、当日も新たな気持ちで運賃規則を見直すことは大切ですが、傾向を知っておくと落ち着いて問題に取り組むことが出来ます。

 それではまず、第1問から見ていきます。第1問の旅程は中国行エコノミークラスの運賃の問題です。問1、問2は基本的なHIPチェック、距離計算が理解できているか、というスタンダードな問題です。どのような条件でHIPチェックが必要なのか、距離計算は正しくできるか、これは毎年必ず問われることなので、対策出来ている方も多いでしょう。TPM、MPMそれぞれの知識を今一度確認しましょう。

 問3は計算例外規定がある運賃の問題でした。こちらは指定経路型運賃のため距離計算、HIPチェックは適用しない、というところを見逃さなければ、問題なく解ける問題でした。

 問4は問3の回答をFare Calculationで表すとどのようになるか、という問題でした。特にひっかけなどは無く、問3の運賃をそのままFare Calculationで表すことが出来れば正しい選択ができるようになっています。やはりFare Calculationでの表現に慣れているか、ということがポイントになりますので、特定便加算はどのように表すか、途中降機料金はどのように表すか、マイルアップがある場合、距離計算を適用しない運賃の場合、など様々なFare Calculationを見て、自分で書けるくらいになっていると安心して試験に臨めるでしょう。

 次に第2問です。どちらかというと第2問の方が工夫された問題が多かったので、難易度が高く感じたかも知れません。ただ、知識として問われているものはやはり基本的なものなので、ひとつひとつ丁寧に取り組めば問題は無かったでしょう。いくつか問題をあげてみます。

問5.この旅程を2022年5月10日(火)に予約する場合、次の記述のうち、正しいものをすべて選びなさい。(予約時に当該区間で指定されたクラスに空席があるものとする)

a.運賃計算上の折嘉永七点をNYCとして、往路にSpecial Saver N運賃を適用し、復路にStandard H運賃の通し運賃を適用して計算することはできない。

b.運賃計算上の折り返し地点をCHIとして、往路・復路ともにSpecial Saver N運賃を適用してそれぞれ通り運賃で計算することは可能である。

c.運賃計算上の折り返し地点をCHIとして、往路にSpecial Saver N運賃、復路にStandard H運賃を適用して最も短い旅行日数の旅程を手配する場合、HNL-TYO間JL0073便の旅行開始日は2022年7月15日(金)となる。

 

 正しいものをすべて選びなさい、という問題は近年出題が続いているので、対策が欠かせない問題です。それぞれの選択肢のYes、Noがきちんと答えられればよいので、他の選択肢に惑わされず、ひとつひとつを丁寧に読み、ひとつずつ潰していきましょう。

 選択肢a.は折り返し地点をNYCとした場合の運賃の適用可否についての問題です。NYCを折り返し地点とすると、復路の乗り換えが3カ所になる旅程でした。Standard H運賃の乗り換えは2回までなので、a,のStandard H運賃の通し運賃を適用して計算することはできない、は正しい、となります。

 次に選択肢b.です。今度は折り返し地点をCHIに変えて、Special Saver N運賃を往復適用できるか、という問題です。Special Saver N運賃はハワイでの乗り換えを認めていないので、適用できません。よって、b.は正しくない。

 次にc.ですが、これも折り返し地点はCHIで往路と復路を異なる運賃にした場合の結合運賃のミニマムステイの考え方に関する問題です。異なる運賃を結合する時の規則の適用の仕方はまず、結合可能運賃規則を見ます。今回の規則を見ると、必要旅行日数は結合されるより厳しい運賃規則が全旅程に適用される、となっています。Standard H運賃の必要旅行日数は2日、Special Saver N運賃は5日、いずれも往路の太平洋横断旅行から数えるため、往路の太平洋横断旅行の7月10日から考えてより厳しい5日目以降、7月15日にHNLを出発する旅程が最短の旅程となります。よって選択肢c.は正しい、となります。

 

 いかがでしょうか。それぞれの問題はそこまで難しくありません。ただ、時間の制限もあるので、ひとつひとつを確実に読んで素早く解釈する力が必要になります。問題の意図を早く捉え、ポイントとなるのはどこなのか確認しましょう。そのような観点からいうと問8.も同様です。問8は運賃結合時の規則の適用で正しいものを選ぶ問題です。これもひとつひとつの選択肢で確実にYes、Noを答えていきます。結合運賃の規則の適用については、毎年問われているので、慣れていると思いますが、項目ごとにより厳しい規則を適用するのか、フェアコンポーネントごとの規則を適用するのか、が異なるのでしっかり見ていきましょう

今回の問題でもうひとつ、注意が必要だったのは、問7.です。

問7.この旅程において、CHIを運賃計算上の折り返し地点として、往路にSpecial Saver N運賃、復路にStandard H運賃を適用した場合、復路のStandard H運賃算出のための計算式はどれか。

a.374,000円×1/2×1.10

b.374,000円×1/2×1.10 +30,000円

c.414,000円×1/2×1.10

d.414,000円×1/2×1.10 +30,000円

 

 これも毎年出るフェアコンポーネントごとの運賃適用の問題ですが、W、Xの適用はフェアコンポーネントごとなのか、シーズナリティの適用は往路の国際区間なのか、それともフェアコンポーネントごとなのか、HWIを経由する際のQサーチャージを忘れていないか、などチェック項目が多く含まれます。

 また、今回の問題に関しては復路の運賃の適用は、復路の北米内の最終地点出発日を基準として復路の旅程に適用する、運賃となっています。復路はCHI-PHX-HNL-TYOという旅程で、北米内の最終地点をPHXと取るか、HNLとするかで適用運賃が変わる問題でした。北米、の定義、これも基本用語ですが、今一度確認し、本土発のPHXの日付としないように気を付けましょう。同様にこの旅程の「太平洋横断区間」とはどこを指すのか、も確認しておきましょう。

傾向が大きく変わることは無かったので、いつも通りの対策と基本事項の確認がポイントとなる試験でした。時間が限られますので、短時間で見落とし無く解けるようにしましょう。

 

この記事を書いた人:

藤田(航空営業グループ)

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