前回から貨物運賃について取り上げていますが、今回はタリフの賃率表の読み方を説明します。
第1回では貨物運賃の種類について説明をしましたが、主な運賃は以下のような種類がありました。
- 最低料金
- 一般貨物賃率
- 特定品目賃率
- 品目分類賃率
- 混合貨物
- 従価料金
今回はOFCが発行している「CARGO TARIFF」の賃率表を基に、簡単な例を用いながら賃率表の読み方を説明していきます。
運賃を適用するにあたり
まず、以下のような原則があります。
① 原則、航空運送状の発行日に有効な運賃を適用しますが、航空会社によっては搭載日に有効な運賃を適用する場合もあります。
② 原則、発地国の通貨で設定されていますが、一部の国では発地国通貨ではなく米ドル(USD)を適用しています。
賃率表の見方
例として、マンチェスターまで貨物を輸送するときを考えてみましょう。
● 重量が5kgの場合:
5kg×JPY 2,634 = JPY 13,170-
しかし!! 最低料金 JPY15,000より安いので、この場合は
JPY15,000-
● 重量が25kgの場合:
25kg×JPY2634 =JPY65,850-
● 重量が130kgの場合:
130kg×JPY1844 =JPY239,720-
また、特定品目賃率が設定されている場合は重量によっては安くなることもあります。
例えば、品目番号「4228」は「オートバイ、オートスクーター、自転車-梱包済み-」とかなり重量のある貨物です。
● 重量が130kgの場合:
130kg×JPY1328 =JPY172,640- ・・・・・・ JPY67,080の差!!
もし、上記③と同じ重量の場合でも賃率にこれだけの差がでてくるのです。
ここで、貨物運賃に適用する重量についてワンポイント!!
貨物運賃を算出するときの重量は、実重量または容積重量のどちらか大きい方の重量を選ぶことになっています。
どの賃率を使うのが得なのか、見極めが大事ですね。
合算運賃
サンプルのように「*」が付いているのが合算運賃で、一目で分かるようになっています。合算運賃とは、2地点間に通し運賃がない場合、ある地点に運賃を合算して設定する運賃のことです。
例えば、東京発マンチェスター行きの通し運賃がない場合、東京発ロンドン行きの通し運賃にロンドン~マンチェスター間の運賃を合算します。
日本発の運賃とロンドンからの運賃は通貨が異なるため、換算レートを使用して日本円に換算することになります。この時に使用するのはIATAで発表されている換算レートで、合算運賃も発地国通貨建てに換算しているのです。
この合算用換算レートは6月、10月、2月の数値を使用し、その時期に合わせて「OFC CARGO TARIFF」は発行されています。「なんで4月に発行されないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそういう理由があったんですね。
ULD
ULDとは、貨物や手荷物を積んで、貨物室に搭載するために規格化されたコンテナのことです。
ULDにも何種類にも分類されますが、中には動物輸送用の器材やダンボール製もあります。
こういう賃率表になっています。
「0P」「2H」「03」「05」はULDのタイプで、このように番号で区分されています。
「1053」は特定品目賃率の番号で「牛」です。「2000」「1500」は最低重量になります。
・運賃を算出するときの重量は、実重量または容積重量のどちらか大きい方を選ぶ
・合算運賃の場合、IATAの換算レートを使って発地国通貨建てに換算している
・牛を運ぶコンテナ用の運賃が存在する
航空貨物は、一般の人にはなじみが薄いですが、貨物運賃のことを少しでも知ってもらえると嬉しいです。
次は、貨物の燃油サーチャージについて説明します。
浜田(副編集長)