こんにちは、営業部の長谷川です。早いものでもう11月の下旬、今年が終わるまであと約1カ月ほど。普段私的に購読しているメールマガジンでも、クリスマスマーケットの宣伝やイルミネーションイベント開催といった案内がたくさん入ってきているのを見ると、モノだけでなく、人の往来も少しずつ増えてきているんだな、と感じています。
さて、前回号に引き続いて航空貨物の話とはなりますが、今回は「2025年の崖」とDX化の話ができればと思いますので、最後までお付き合いください。
2025年の崖~あなたの会社のシステムは大丈夫?
「2025年の崖」―。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この2025年の崖、というのは、経済産業省がDX(デジタルトランスフォーメーション)レポートの中で用いた表現で、簡単に言ってしまえば「2025年までにIT人材の不在や各種サポートの終了に伴い、最大12兆円もの経済損失が発生する可能性がある」ということです。
普段使用している基幹システムを思い浮かべて、考えてみてください。分からないことがあれば全部ITサポート担当者がどうにかしてくれる・同じ部署の詳しい人が教えてくれる、長年同じシステムを使い続けているから分からないことなんてない、使う機能が限られているのでITに詳しい人間がいなくても使いこなせる―。本当にそうでしょうか。
今使っている基幹システムの保守サポートは一体いつまでなのか、ちょっと困ったときのために参照するマニュアルはあるか、本当にほかの機能は触る必要がないのか、いらない機能はないか―。業務フローを思い返してみて、本当に必要な機能がそろっているのか、業務効率は果たして良いのか―。
経済産業省が発表したDXレポートの中では、ITシステムがレガシーシステムとなっており、DX化の足かせになっているという結果が公表されています。レガシーシステムというのは、技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム、と定義されていて、長年使っていくうちに必要な機能を都度つぎ足していった結果、設定が複雑でブラックボックス状態になっていたり、すべての操作がマニュアルで、業務効率を低下させている等の問題点があります。
(参考:
経済産業省,『DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』,平成30年9月7日)
DX化のためにまずは検討を
普段使用している基幹システムで、少しでも「DX化に遅れをとっているかも?」と感じることがあったら、まずは業務フローとシステムの使われ方を整理し、今使っているシステムにおける限界と、導入したメリットについて検討することが重要だと考えています。
分からないことがあったら同じ部署の詳しい人に聞けばそれで解決、としていたのでは、同じ部署の詳しい人の業務負担改善と、部署としての・個人としての業務効率向上にはつながりません。例えば、社内スタッフからシステムについて質問を受けるとします。そのたび解決に時間を割いて、自分の業務がストップするとしたらどうでしょうか。私は実際に「非効率的だな」と感じることがあります(同じ立場です、という方には共感いただけると思いますが…)。自社のITサポートが充実していて、質問する窓口があり、そこに頼れるならば業務に問題なく邁進できるでしょうが、やはり一緒の業務をしている人間に聞いてしまった方が早い、というケースは少なくありません。
解決する方法として、マニュアル整備と周知、が挙げられますが、マニュアルを作るにも手間がかかりますし、周知してもマニュアルを読むのが面倒だと思う方もいます。根本を考え直してみると、普段使っているシステムが複雑であるために、「どうしたいか」を具現化することがかなわず、詳しい人に聞いてみよう、というケースにつながっているかもしれません。
発想を転換させると、システムでの分からないことが実は「基幹システムにはないけれど、日常業務で必要としている機能」につながっていたりします。
例えば、今までは紙で発行していたAWBについて、eAWB発行にも対応したい―。すでにeAWBでないと発行手数料がかかる、といった航空会社もあり、徐々にeAWBの普及が進んできています。このように日常的に使う機能であるならば、基幹システムに導入すれば業務効率化につながりますが、長年使っているシステムだと規格が合わずに搭載できない場合もあるかもしれません。
また、基幹システムのマスタとしてタリフレートを持っていなければ、都度発行のたびにレートを手入力したAWBの発行とは縁が切れず、結局は手間と時間がかかるためあまり効率的とは言えません。AWBを発行するために都度OFCのカーゴタリフを開いて、タリフレートを入力する―。そんな作業も、マスタにタリフレートのデータが入っていて、仕出地・仕向地・重量を入れて勝手に計算してくれるようになれば、スタッフ一人ひとりの作業時間の短縮となり、結果として全社的に効率化につながるかもしれません。OFCでは、普段皆さまにお使いいただいているOFC CARGO TARIFFに掲載している情報を基幹システムに取り込み、マスタデータとしてお使いいただけるデジタルデータ(ローデータ)もご提供しています。
▼ 貨物運賃デジタルデータについては こちら 。詳細はお問い合わせください。
システム刷新で不要な手間と機能をスッキリ断捨離する一方で、業務にかかわるシステムを刷新することにより、日常業務に支障をきたすのではないか、という心配は付き物ですが、これを機に業務フローの改善と、そのために必要なシステムを見直すことで、だいぶ不要な作業を省くことができたり、導線を簡易化、またはマニュアルを整備することで、システムを使う社員にとっても業務効率化を推進することができるのではないでしょうか。
現在ではIT企業の数も増え、今まではパッケージソフトを使うしかなかったシステムでしたが、IT企業とタッグを組んで一緒にシステムを構築していくこともできるようになってきています。また、単純なデータ入力や格納といった作業では、RPA(Robotic Process Automation)といった技術で自動化することも最近では珍しくありません。2025年はそう遠くない未来です。今一度、基幹システムについて見直すことをおすすめします。
システムを見直すにあたり、輸出入や通関業など業務効率化に特化したセミナーに参加してみることも良いかもしれません。NECネクサソリューションズ株式会社主催の業務効率化に特化したセミナーがありますので、同社のシステムを使っている・いないにかかわらず、一度参加してみてはいかがでしょうか。
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おわりに
OFCでも、2025年の崖は他人事ではないと感じています。現在多くのフォワーダー様でOFC CARGO TARIFFをお使いいただいていますが、業務効率化の一環として、基幹システムに取り込んでお使いいただけるローデータ版もご提供しています。実際にAWB発行の際の手間は省けたというお声をいただいている一方で、業界全体のDX化に向けて、他にお手伝いできることがないかと日々模索・検討を行っています。「こんなデータがあったら使いたい」「こんなデータ連携はできないか」といったリクエストがありましたら、どんな些細なことでもご相談ください。
今年も残すところあと約1カ月ではございますが、引き続きOFCをどうぞよろしくお願いいたします。
この記事を書いた人:
営業部 商品販売グループ 長谷川