【第6号】2. 意外と知らない貨物運賃の話 その2「賃率表の読み方」
【第7号】2. 意外と知らない貨物運賃の話 その3「貨物の燃油サーチャージ」
今回で第4回目となる貨物運賃の話の最終回です。
貨物のセキュリティ・サーチャージについてご紹介します。
セキュリティ・サーチャージとは
貨物では燃油サーチャージの他にセキュリティ・サーチャージを収受している会社があります。
中にはインシュアランス・サーチャージという名目で設定している会社もありますが、言い方の違いだけで考え方は同じです。
このサーチャージが貨物で導入された背景には、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ以降航空運送に対する保安の費用が増大したことがありました。
そこで、航空会社では燃油サーチャージ同様に、お客様に一部をご負担いただくことになりました。考え方は燃油サーチャージと同じで、安定していた時と増大した分の費用の差の一部をご負担いただくため、収受するサーチャージ額はコストを上回ってはいけません。
では、セキュリティにどのような費用が含まれているのか、どうやって計算するのかなどの仕組みを、一部ご紹介していきます。
保安にはどのような費用がかかるのか
旅客とは異なり貨物では上屋と呼ばれる輸出、輸入される貨物を一時保管しておく施設があります。
上屋には、セキュリティ用のカメラや貨物内容の探査機の設置および運用費や各空港の警備費など、セキュリティ関連の費用がかかってきます。各航空会社が、強化なセキュリティ対策を空港ごとに実施しているのですから、多額の費用がかかることが想定できます。
ではサーチャージ額をどのように算出しているのかを説明していきましょう。
セキュリティ・サーチャージの計算方法
まず、各空港で発生している年間のセキュリティ費用を算出します。
次に、航空会社で異なりますがセキュリティ・サーチャージを負担してもらう単位が必要となりますが、重量単位でのサーチャージか、またはAWB単位かの2種類になります。
重量単位の場合は1kg単位、AWBの場合は1枚、1件単位となります。ちなみにこのAWBというのは、航空貨物運送の書類で、航空旅客でいう航空券に匹敵するものです。
ここで、重量単位でのセキュリティ・サーチャージの場合は年間取扱重量を、AWBの場合は年間取扱い枚数または件数を出します。
そして、年間セキュリティー費用を年間重量、またはAWB数で割って、算出するのです。
簡単に言うと以下のような計算式になります。
ここで補足!!
上記の計算の結果、端数、小数点がどうしても発生することがあります。
その場合、日本円の1円単位にしますが、切り捨てることになっています。小数点を四捨五入や切り上げで処理してしまうと、その分多めに収受することになるからです。
切り捨てにした差額は航空会社が負担しているということになります。
では、サーチャージはどのくらいのタームで見直されているのでしょうか。
金額の見直しについて
年間のセキュリティ費用をはじめ、年間取扱重量やAWBは毎年見直しがなされています。
申請は4月~9月分と10月~3月分の年2回申請が必要となりますが、申請時には費用などの詳細な情報も提出必要があります。
日本発だけではなく、日本着も収受する場合には、この時に一緒に申請を行います。国土交通省へ申請を行い認可を取得できてお客様からサーチャージ額を収受しているのです。
・保安にかかる費用の一部をお客様に負担していただくことがある
・金額は重量またはAWBの数によって算出する
・日本発/着ともに申請が必要
これまで、4回にわたって貨物運賃について説明をしてきました。
航空貨物は一般の方だけではなく、旅行会社ではなじみの薄い世界ですが、この4回をとおして少しでも貨物運賃に興味をもってもらえると嬉しいです。
浜田(副編集長)