【第14号】2. 運賃の仕組みの話 その4「シーズナリティとQサーチャージ」

 今回はシーズナリティとQサーチャージについて。担当は、編集部の倉野と浜田です。

シーズナリティとは

 運賃の仕組みシリーズ第4弾の今回は、シーズナリティ、Qサーチャージについて解説をいたします。 

 国際航空運賃には、運賃額が年間を通して一定額の通年運賃と、需要の季節変動に伴い、年間を複数のシーズンに分けて運賃レベルに差をつけるシーズナリティ運賃があります。皆さまご存知のとおり、お盆や年末年始にはシーズンコードPやHが使われ、運賃額も高くなりますよね。各シーズンコードにはそれぞれ日付が割り当てられ、旅行をする日によって、異なる運賃額が適用される仕組みになっています。 

シーズナリティの適用例

 代表的なシーズンコードには下記があげられます。

 一般的に、Pから下に運賃額が安くなりますが、航空会社や運賃によって、H/Lのみ使用していたり、全く異なるシーズンコードを使用していたり、さまざまです。 

 シーズナリティの適用には以下の2種類があります。 

① 往路の最初の国際線出発日によってシーズナリティが決定し、全ての旅程に同じシーズナリティが適用される。 
② 往路・復路それぞれの最初の国際線出発日によって、それぞれのシーズナリティが適用される 

 ①の場合、往路・復路で同じシーズナリティが適用されます。 

【例】往路のシーズナリティ: H = 8/12~8/16、8/26~8/31 / P = 8/17~8/25 

◆ 旅程

 8/12 TYO発HNL行 Hシーズン 

 8/25 HNL発TYO行 Hシーズン 

 ②の場合、往路・復路でシーズナリティが異なります。 

【例】往路・復路それぞれのシーズナリティ: H = 8/12~8/16、8/26~8/31 / P = 8/17~8/25 

◆ 旅程 

 8/12 TYO発HNL行 Hシーズン 

 8/25 HNL発TYO行 Pシーズン 

 このように旅程とシーズナリティの日付が全く同じでも、①②のどちらのパターンかによって、適用されるシーズンコードが変わります。②の場合には復路を1日遅らせることで、シーズンコードがPからHになり、運賃額を下げることができますね。 

 基準となる日については、「最初の国際線出発日」としている運賃が多いですが、TC1行では「太平洋区間の出発日」など、基準日が異なる運賃もあります。なかなかじっくり確認することのない部分ですが、よく見てみると、面白い発見があるかもしれません! 

Qサーチャージで運賃に差をつける場合

 シーズナリティの他に、運賃額に差をつけるためによく使われるのが「Qサーチャージ」です。 

 主に設定される内容は、第2弾のX/Wの記事でも説明していますが、特定日や特定便、特定曜日などがあります。 

 特定日の場合は、シーズナリティで運賃額に差をつけるのではなく、通年運賃に需要のある日をQサーチャージとして設定したり、シーズナリティの設定は上記①の往路を基準として復路は特定日と設定して加算する場合もあります。 

 週末(Weekend)運賃と平日(Weekday)を設定しないで、特定の曜日をQサーチャージで設定している運賃もあります。 

 また、羽田発着便のように需要のある便を特定便としてQサーチャージを設定しています。 

 最近では、乗り換え地点として利用する都市が旅程に入っている場合、Qサーチャージを設定する会社が増えてきました。 

 このように需要のある項目をQサーチャージとして設定する傾向に今はあるようです。 

 運賃額を紹介するときには、必ず規則のサーチャージ項目でいくら追加されるか確認をするようにしてください。  

今回のまとめ

シーズナリティは航空会社が需要に応じて独自に設定している。
シーズナリティに大きく分けて2種類あり、往路を基準として全旅程に適用するケースと、往路、復路それぞれ設定されているケースがある。
特定日だけではなく、需要のある項目をQサーチャージとして設定するケースが多い。

この記事を書いた人:

倉野・浜田(編集部/タリフセクション)

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