運賃の仕組み12回目は「取り消し・払い戻し」についてです。11回目同様に航空券の手配時には必ず確認する項目ではないでしょうか。今回は例を用いながら説明を進めていきます。
取り消し・払い戻し
定義
航空券発券後に、お客様のご都合で航空券を取り消したり、払い戻しをすることがありますが、この項目には取り消し、払い戻しの可否と手続きについて明記されています。
- 取り消しとは・・・ 予約便を取り消すこと
- 払い戻しとは・・・ 予約便の取り消しを行った結果の当該運賃の払い戻し
ここで1つ大事なことがあります。取り消し・払い戻しをするタイミングによって、払い戻し額が異なることがありますので、次で説明します。
タイミング
運賃の多くは、出発前と出発後の条件が明記されており、運賃種別によっては、取り消し・払い戻しのタイミングによって、手数料が異なったり、中には払い戻しができない場合があります。また、以下のように手続きを行う期限を設けている運賃もあります。
≪例1≫
出発前
1)往路の最初の区間の予約便出発時刻より前に取り消しの連絡を行った場合
2)予約便出発時刻までに取り消しを行わなかった場合
≪例2≫
出発前
1)往路の最初の区間の予約便出発の30時間以前に予約記録の整理が完了している場合
2)往路の最初の区間の予約便出発の30時間~12時間前に予約記録の整理が完了している場合
3)往路の最初の区間の予約便出発時刻の12時間前までに予約記録の整理が完了していない場合
例1は多く見受けられる条件ですが、例2のように何段階ものタイミングを設定している運賃があります。また、例1は予約便の取り消しの連絡を行うということですが、例2は予約記録の整理を完了しなくてはなりません。このようにタイミングだけではなく、どこまで処理をしなければならないのか、航空会社によって異なりますので、正しく理解しておく必要があります。
さらに、出発前と出発後では条件が異なりますので、併せて確認するようにしましょう。
ノーショウ
取り消し・払い戻しのタイミングが色々あることを説明しましたが、前回11回目でも説明したノーショウの場合もタイミングの1つとなります。ノーショウの定義は会社によって異なりますが、上記例1では2)が、例2は3)がノーショウに該当します。さらにノーショウの場合は払い戻し不可と厳しい条件が多いですが、払い戻し可能な運賃も手数料のほかにノーショウチャージをさらに加算してなくてはいけない場合がほとんどです。
例:取り消し・払い戻し手数料 20,000円+ノーショウチャージ 30,000円 = ノーショウ時の手数料は50,000円
GDSの表記は
GDSはcat16「PENALTIES」に書かれており、「CHANGES」と「CANCELLATIONS」の規則が書かれています。「取り消し・払い戻し」は「 CANCELLATIONS 」に可否や手数料など条件が記載されています。何ページにもわたって条件を明記している会社もあります。それだけ「予約変更・経路変更」と「取り消し・払い戻し」項目は詳細な条件が設定されているということですね。
取り消し・払い戻しの手数料
手数料の考え方
手数料を設けている運賃がほとんどですが、下の例のように手数料が固定額の場合と運賃額のXX%と割合が手数料という運賃もあります。
≪例≫
出発前
1)往路の最初の区間の予約便出発時刻より前に取り消しの連絡を行った場合
大人20,000円、小児15,000円を取り消し手数料として収受し、残額を払い戻す
2)予約便の取り消しを行わなかった場合
支払額の50%を取り消し手数料として収受し、残額を払い戻す。ただし、支払い額の50%が大人20,000円、小児15,000円を下回る場合には、大人20,000円、小児15,000円を取り消し手数料とする
この例は出発前の条件となりますが、1)は固定額で大人20,000円ですが、2)は支払額の50%が手数料となっています。さらに、この例では支払額の50%の金額が20,000円下回る場合は、20,000円を収受するのが条件となります。どのように計算したらよいのか・・・・・では、ここで問題です。
【問題】上記≪例≫が取り消し・払い戻しの条件だとします。運賃額が以下の①、②の場合、出発前の1)、2)それぞれ払い戻し額はいくらになりますでしょうか。ただし、大人運賃とします。
①大人運賃額が52,000円 ②大人運賃額が36,000円
皆さんが出した払い戻し額はそれぞれいくらになりましたでしょうか。解答は一番下に記しますので、答え合わせをしてみてください。
小幼児の手数料
手数料について説明をしてきましたが、手数料は小幼児にもかかります。基本的な考え方は以下のとおりです。
取り消し・払い戻しの手数料は、原則大人と小児は設定されており、幼児は無料である。小児の手数料は小児運賃で定められた大人運賃に対する割引率によって算出される
原則幼児は無料、小児は例えば大人手数料が10,000円、小児運賃が大人運賃の75%の場合10,000円×75%で小児手数料は7,500となります。しかし、運賃によって異なり、幼児も収受する運賃が増えてきており、中には小児運賃は大人運賃の75%、幼児運賃は大人運賃の10%であっても、小児、幼児の手数料は割引きがなく大人と同額ということがあります。
それでは、上記で出題しました払い戻し額の解答です。
取り消し・払い戻しは予約変更・経路変更同様に一番大事な条件です。各航空会社の規則を読み込んで、お客様の要望に沿う運賃をお勧めできるといいですね。
次回は分かりにくい項目と言われている「結合運賃」を解説していきます。
今回のまとめ
取り消し・払い戻しはタイミングによっては、不可の場合がある
会社によっては完了させないといけない処理が異なる場合がある
手数料は固定額と支払額の割合の場合がある
この記事を書いた人:
浜田(編集部/タリフセクション)