【第26号】3. OFCタリフのデータ活用:旅行会社での使い方とは?(後編)

 編集長の関本です。
 前回から引き続き、株式会社JTBの中村様に、同社へ提供しているOFCの日本語運賃規則データについてインタビューしてきた内容をお届けします。

 

 

コロナ禍での航空券販売の難しさ

――気がつけば新型コロナウイルスの影響を受け始めてから1年以上が経ちましたが、海外航空券は厳しい状況が続きますね。

 

中村  全くです。販売サイトで検索される回数を見ても、回復はまだまだ遠い状況です。

 

――2020年4月から、ご提供するデータの項目を追加し、より使いやすい形でお送りするようにしましたが、残念ながら活躍の場は限られていそうです。

 

中村  それでも、赴任、その他一時帰国等を目的とした検索が一時期よりは増えてきた印象もあります。
 先のレジャー需要はまだまだこれからのように感じますが、ワクチン接種も進んでおり、近いことを期待します。

 

日本政府観光局による2021年度訪日外国客・出国日本人数のまとめ(対2019年度)

 

――各航空会社、日本への便を大幅に減らしていますし、観光需要のお客様が動く時期ではないですから、安い運賃が設定されづらく、レジャーの航空券販売はかなり少ない、ということでしょうか。

 

中村  一時隔離による影響も大きいのではないかと考えています。

 

――そのあたりは、かなり流動的です。

 

中村  このコロナ禍で運賃の規則が一時的に緩くなって、本来なら払い戻せないはずの航空券が手数料なしで返金可能となる等、今までの経験が通用しない変化が生じています。
 GDSに載らないものや、本来の規則に加えて緩和措置が記載されている例もあり、そのあたり正確な最新情報も、OFCのデータに期待したいところです。

 

――GDSに載っていることをそのまま見せるなら、自動翻訳の方がスピードと、一字一句原文をなぞっているという点で有利かもしれません。ただ、OFCには様々な航空会社の情報が集まってきて、それを人が見て分析することで、旅行会社で役立てていただけるような、規則そのもの以外の価値もご提供できるのではないかと考えています。

 

中村  そこも期待している点です。自動的に規則のデータを送り続けるだけではなくて、それがどういう意味を持つのか情報交換できるという点は、OFCの強みでしょう。

 

 

OFCデータの進化

――ありがとうございます。先ほど、昨年4月からデータを新しくしたという話をしましたが、たとえば「取り消し・払い戻し」の条件のデータを進化させ、「フェアコンポーネントごとに計算するのか?」「(LCCのように)1区間ごとの取り扱いなのか?」ということがわかるようにしました。
 その機能が最大限に活用されるのは少し先かもしれませんが、今後の展望などお聞かせください。

 

中村  はい。まず、昨年、航空券販売サイトを更新し、新たなOFCデータをお客様向けに表示できるようにしました。その後、社内システムですね。これも稼働しています。
 そして、今後もホテル等の素材と組み合わせた商品の販売にも一層活用していきたいと考えています。リアルタイムで変化する空席や、その運賃の取消料等の規則を正確にお客様にお見せして、予約していただくことが重要ですから、OFCデータを使うことによって販売を伸ばしていければと考えています。

 

JTBウェブサイトでの規則表示例

 

――我々のデータが活躍しそうで嬉しいです。

 

中村  頂いているデータは大変役に立っています。やはり、日本語で取消料・変更に関する条件を表示せずに購入していただくというのは、非常に問題があります。GDS上の英文規則を読んでわかればいいのですが、お客様向けのサイトでは、そういうわけにもいかないと考えます。
 また、店頭等での販売でも、GDSの英文規則に精通している担当者が常に販売するわけではなく、長い英文規則を常に確認するのも非効率ですので、OFCの日本語規則情報が大変活用出来ます。

 

 

航空会社の販売のためのOFCデータ

――今後も、より使い勝手がよく、お客様に満足していただけるデータとなるよう努めていきます。

 

中村  残念ながら全ての運賃がOFCから提供されているわけではないことは残念です。

 

――仰る通りで、頑張ってもどうしても人がやることには限界があると感じています。GDSで公開される前の航空会社からの情報を基に、ご提供するデータを準備していますので、そこには抜けが出てしまうこともあります。

 

中村  そういう運賃が多いと、販売のチャンスを失いますのでもったいないと思います。JTBとしても販売機会を失い残念ですが、航空会社にとっても、OFCを通じて日本語の情報が届いていれば販売できたかもしれない座席が、販売される機会を逃しているとも言えます。

 

――航空会社に働きかけて、より多くの情報を、より早く収拾していく、というのも今後のテーマに取り組みたいと思います。

 

中村  よろしくお願いします。それと、ぜひ航空会社の方にも、「OFCに情報を提供してください」とお願いしたいです。それが回り回って、旅行会社で航空券が販売できることに繋がることをご理解いただきたいと思います。

 

――旅行会社と航空会社を繋ぐ線の間にOFCが立って、より良い販売に繋げていけるよう、引き続き努力します。
 本日はありがとうございました。

 

中村  こちらこそありがとうございました。
 航空需要は、時期はわかりませんが、必ず回復していきます。そのとき、一番役に立つものになっているようお願いします。

 

――かしこまりました。また情報交換させていただきながら、次の時代に向けて頑張っていきましょう。

 

 

 

インタビューを終えて

 1時間ほどお話させていただき、OFCのデータを活用していただけていることがわかり、ほっとしました。同時に、単にGDS上に存在する英文規則と同じ内容の日本語をご提供するだけではなく、業界の変化や航空会社の動向を踏まえて、旅行会社に規則そのもの以外の情報や価値をご提供できるのがOFCならではだと、改めて自分の立ち位置を認識しました。

 

 OFCでは現在、日本に乗り入れる多くの外国航空会社の運賃申請業務を代行し、それ以外の運賃情報も頂いて、海外渡航に関する幅広い分野でご活用いただいています。これを更に有益なものにし、旅行業界を盛り上げていくには、航空会社の皆様からの情報提供が不可欠です。ぜひ今後とも、OFCへ運賃情報をお寄せいただけますよう、お願いいたします。

 

 また、OFCデータにご興味を持たれた旅行会社の方がいらっしゃれば、当社営業担当までご連絡ください。折り返し、データ担当より詳細をご案内申し上げます。

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