【第43号】2. 運賃規則の雑学知識(その7)

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【第36号】4. 運賃規則の雑学知識(その1)
【第37号】4. 運賃規則の雑学知識(その2)
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【第42号】4. 運賃規則の雑学知識(その6)

 

 

 航空券を購入する際に気をつけたいのが日付。安いチケットだと変更も払い戻しもできないので、1日間違えて大損する、なんてこともあるかもしれません(気付かず空港に行って、どうにか乗せてもらえたという話も聞きますが、あれは本来的な取り扱いではないですね)。

 

「日付を間違えるなんて」と思われるかもしれませんが、羽田空港を深夜に出発する便では、十分注意しないとうっかりはあり得るな、と思います。たとえば2月1日の23時50分発と、2月2日の0時30分発の便は、日付は違うけど同じ夜。航空会社のウェブサイトで運賃を検索していて、「お、0時30分発の方が安いぞ」と2月1日の0時30分発を選んでしまうと、現地滞在が実質1日長くなる、ということに。

 

 

 太平洋を越えるときはまた別のややこしさがあって、それは日付変更線。24時間前に戻ったり、先に進んだり。現地に着いたら、出発時刻より前でなんだか得した気分になった、という笑い話もあります(帰りにその分、1日進むのに)。

 

 その日付変更線は、地図で見ると真っすぐ縦に引かれてはいません。ところどころ凹凸があって、ちょうどそのあたりの太平洋上に浮かんでいる島々は、どっち側に属するのか判別するのが面倒。日本人の感覚では、同じ国の中にタイムゾーンが違う地域があるなんていうのもイメージしにくいですから、日付変更線をまたぐのを忘れて、1日ずれた日程で手配しちゃいました、なんてことにならないよう気をつけたいですね。

 

 

 そんな日付変更線についての小話を2題。

 

 

フィリピンの引っ越し

 地図を見れば「それはないだろ」と思いそうですが、フィリピンは長く日付変更線の東側、つまりアメリカ寄りグループに属していました。

 19世紀前半までフィリピンの貿易は対メキシコが多く、そちらと日付を合わせた方が、何かと便利。経済的な事情でそっちに寄っていたわけです。しかし時代は変わり、取り引き相手として現在の中国やインドネシアの存在感が増してくると、今度は1日ずれてしまう問題が発生します。

 このままでは不便だということで、日付変更線をずらす引っ越し作業を実施したのは、1884年末のこと。1844年12月30日の翌日が1845年1月1日になりました。1844年は大晦日を祝い損ねたのか、前日30日を1044年最後の日として盛大に祝ったのかまでは、資料を見つけられず不明。そんな風に1日飛ばすなんてことがあるんですね。

 今だとコンピューターの調整が大変そうですが、19世紀半ばはまだまだ大らかな時代だったということでしょうか。

 

 同様の経済的な理由で日付変更線をずらした国には、サモアがあります。ただ、このサモアの変わっているところは、貿易相手国の変化により、2回変えていること。日付変更線って、もっと国際的な厳格なものだと思っていたので、ちょっとびっくりです。

 

 

キリバスの独立

 キリバスと言われて、行ったことがあるという方はそう多くないでしょう。ぼくも行ったことありません。

 1979年に独立し、その際に領土が確定したのですが、当時はフェニックス諸島(日付変更線の東側にあった)とライン諸島(西側にあった)が日付変更線をまたいだ状態そのまま。ひとつの国にふたつの日付があるややこしい。

 と、話はそれだけでは済みません。ややこしいのは気をつければいいと思っていたら、それぞれの役所が平日営業なので、連絡を取り合えるのは両方が平日の週4日だけ。なんと、週休3日制を先駆けていた、という話だったらおもしろかったかもしれません。実際は、連絡を取りたい相手が休みで仕事が進まない日が毎週1日あるという、なんとも生産性の上がらない話でした。

 これを変更したのは1995年の話。結果、日付変更線は地図上、大きく右にはみ出すことになるのですが、案外最近だったんですね。

 

 

 時差を計算する問題は、総合旅行業務取扱管理者試験にも出てきます。

 この日付変更線をまたぐ微妙な位置の国々に旅行する機会はあまりないでしょうが、手配ミスなど起こさないよう、こんな小ネタもあったな、と思い出していただけると幸いです。

 

 

 

 それではまた。

 

この記事を書いた人:

関本(編集長)

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